「魚」SELF-LINER NOTES
“僕らは魚であり、水面に映った花火である”
この曲を書くときにイメージしたのは、海辺で花火を見ている男女だった。
2人はもう長いこと一緒に居る。互いに僅かな不満を抱えながらも、
それでも一緒に居ることを選び続けてきた。
誰かと生きるということは、大変難しい。と、この頃思うようになった。
自分の望みばかりを押し付けてはすぐに壊れてしまう。かと言って、
相手を尊重しすぎると、今度は自分が壊れてしまう。
共に生きる中で日々生じていく歪みを、その都度解消していく必要がある。
「価値観」という言葉がある。よく聞くのは「価値観の違いで」というやつだ。
私も実際にそれを痛感する出来事に多々遭遇してきた。どうやっても埋まらない溝。
何度伝えても変わらない相手の言動。
変える気がないのか?そもそも努力したところで変わらないのか?
そんなことばかりを考えていた。
辿り着く答えはいつも同じで
「そういう人だって分かってて一緒に居ることを選んだのは自分だ」ということ。
迷うたびに、悩むたびに、そうやって自分自身に言い聞かせていた。
それに、相手から見た自分だって完璧である自信はない。
ならば責められないじゃないか。
じゃあ、いっそのこと、この言葉ごと全て飲み込んでしまおう。
見えていないのか、見ようとしていないのか、はたまた見ないふりをしているのか、
それはもう本人にしか分からない。
この花火ももう終わる。その頃にはきっと、2人はまた笑い合うのだろう。
でも、それでもいいと思えるほど、僕はまだ君を愛しているんだろうな。
そんなことを考えていると、大輪の花火が空高く打ち上がった。
夜空を見上げてうっとりとしている君を横目に、ふと視線を下ろすと、
光の花が水面に反射していた。キラキラとヌラヌラと光っている。
それはまるで魚のようだった。
